ぴ〜教授のショートサスペンス あなたはこのfinalに耐えられるか!
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■ 究極玩具−2
会社に来るまでに、結構、リングを着けている人を見かけた。
「そりゃそうだな、1億個販売だもんな。途中、赤いリングを着けた人も何人か
見かけたけど、いきなり声を掛けられないしなあ。」と思案していた。
「おはよう。」と受付の洋子ちゃんにいつも通り挨拶して、エレベータに向かった。
「ぴ〜さん、もぐらたたき買ったの?」っと後ろから声がした。受付の洋子ちゃん
からだ。「うん、買ったよ。どうして」「どうしてって、赤いリングしてるじゃん」
「そうそう、でもね、もぐらを探さないと、ゲームができないみたいだし、こんな
都会にもぐらなんかいないしね。それに、それを教えてくれる赤いリングをしている
人を捜さないといけないし。なんか、たいへんそうなんだ。」
「じゃじゃあ〜ん」と言いながら、洋子は左の中指をみせた。そこには赤いリングが光っていた。
「教えてあげよっか?条件次第ではね。夕食ゴッチ」
「いいよ。じゃ、仕事終って6時にロビーで。」
仕事が終るのが待ち遠しかった。6時に洋子ちゃんは、ロビーにいた。
「さあ、教えてくれよ。」
「慌てない、慌てない。まず、夕食よ。イタメシね。」
結構値のはる、イタメシだった。「まあ、いいやこれぐらいは。」
「それじゃ、行きましょ。」「どこへ?ここじゃないんか?」
「話、するより実践よ。実践。もぐらカフェよ」
「もぐらカフェって」
「昔はやったインターネットカフェみたいなもんよ。そんなことも知らないの。」
そう言えば、そんな感じの建物ができているような気もする。
洋子は慣れた感じでもぐらカフェに入った。私も遅れまいとついて行く。入場料500円。
結構リーズナブル。「あそこ空いてるわ。あそこに座りましょ。」
「それじゃ、説明するわよ。」
「まず、もぐらたたきを、対面でおくでしょ。そして、オープン。電源ON.そしてスタート
どうモニターが写ったでしょ。そして、【相手】って書いてある、ボタンを押して。何が映った?」
「なにがって、もぐらたたきに入った小さい人形が3つ見えている」
「そう、それがもぐらよ。今映ってるのわね、私のもぐらたたきに入っているもぐらなの。こっち来て見てごらん」
確かに、洋子のもぐらたたきに入っている人形が私のモニターに映っているのだ。3匹といっていいのか、3体
入っている。「私も今のところ3匹だから、もぐらたたきできないんだけどね。この人形というかもぐらをね、取り合うの」
もぐらと言われても、どうみても生きている人間の超ミニチュア版である。
「5体そろうと、もぐらたたきできるし、リングの色も5体揃うと青色に変わるのよ。
ある程度のリングは状態をあらわすようなんだけど、一定レベルを過ぎると、黄色とか緑とか
いろんな色に変わるみたいよ。それを示すのが、モニターの上のウインドウで、なんか点数みたいなの
出てるでしょ。ほら、0点って。私は1200点、ほら。」
「ふ〜ん、なるほど。それでどうやって、取り合うの?おれ0体だぜ。」
「次は、そこよね。まず、リングのこのボタンを押して」「こんなところにボタンがあったのか。」押してみた。
アンテナらしきものが1cmぐらい伸びた。
「そして、このサングラスと手袋をつけて。」左手の中指だけは指の部分がなかった。
3Dバーチャル空間を作り出す、超小型サングラス型PCであった。
「いろんなゲームのメニューが見えるでしょ。それで、2人でゲームをして、勝った方が
相手からもぐらをいただくのよ。」
「なるほど、じゃあ、一度やってみようよ。」「私と、やるの?」洋子はしばらく考えた。
「まあ、ぴ〜さんはじめてみたいだし、軽く勝てるわね。」と算段をして、OK!を出した。
「じゃ、ゲームはっと、これでいい。温泉ピンポン。」「温泉ピンポン!なんでもあるんだなあ」と思っていると
見る間に、3D空間は温泉の座敷に変わり、ピンポン台が現われ、2人は浴衣姿になった。
洋子の姿はなんとなく胸が見えそうで、色っぽかった。勝負はあっけなく終った。
俺の圧勝だ。洋子は1点も取れなかった。
洋子は呆然として、悔しがっていた。そして、食い入るようにモニターを見ていた。
スコア−ボードとランクを示すウィンドウの隅に数字が現われ始めた。数字は2を示した。
洋子はなんかホットした表情をした。なんか、ほんとにホットしたようだ。(…つづく)