ぴ〜教授のショートサスペンス あなたはこのfinalに耐えられるか!
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■ 女優-2
いやに落ちついた雰囲気を持っている。「ここ、座っていいですか?」「えぇ」
「よくこられるんですか」「まあ、となりの劇場で舞台をしてるんで、終ったあとよくきます」
「女優さんなんですってね」「まあ、売れない3流女優ですよ。イザベラです。よろしく。」
「う〜ん、どっかで聞いたような。私、ぴ〜です。」
「今日は、はじめてみたいですね。」「雨が降ってきたんで、雨宿りですよ」
「ここ落ちついて好きなんです。」「あっ!忘れてた。よかったらどうぞ。」とぴ〜教授はブラッデーマリーをそっと
差し出した。「ありがとう。いただくわぁ」
「舞台好きですか?よかったら見にきません。これ入場券、お礼に差し上げます。」
「いいのかなあ、もらって。これ結構するんでしょ。」「いいのよ、明日で千秋楽だから、どうせ売れ残ったチケットだし」
「それじゃ、いただいときます。明日必ず行きます」「無理してくださらなくってもいいですよ」「いいえ、行きます」
二言三言しゃべったあと、彼女はバーを出ていった。残り香がなんとも言えない子悪魔的神秘さを漂わせていた。
ぴ〜教授は、雨があがったのを見計らって、くもの巣をあとにした。
翌日、大学の講義もそそくさと片付け、昨日の場所へ向かった。また、例の角に占い師が座っていた。また、一瞥した
だけで、そのまま通りすぎた。「えぇ〜と、ここらへんだけどなあ。お、あったあった。第8回劇団亜空間公演」
「隣は、くもの巣だったな。」しかし、くもの巣をぴ〜教授は見つけることができなかった。
「おかしいなあ、隣はくもの巣のはずなのに」ぴ〜教授はそのまま劇場の扉を開け、中にはいった。
扉がしまった。ギギギィーバッタン。二度と開かない扉のような音がした。
中は薄暗く、10人ぐらいの観客がいるように感じた。舞台もかすかな明かりが照らされているだけである。
ゆっくりとぴ〜教授は座った。そして、舞台を見た。バーのカウンター、テーブルにすわる四人の客。
そしてマスター。奥に女性。目を疑った。イザベラは女優だからそこにいるのはわかる、そこにいるマスターは昨日のマスター!
「マスターも役者なのか!昨日のバーそのままじゃないか!そこはくもの巣じゃないのか」
舞台のくもの巣の扉が開いた。男がひとり入ってきた。なにやらマスターと話ししている。やがて、イザベラの方へ。
手にはブラデーマリーを持って。男がチラットこちらを見た。「俺だ!おれが舞台にいる。」ぴ〜教授はわが目を疑った。
そのとき、何時の間に来たのかぴ〜教授の傍らで肩をたたく人影が、ぴ〜教授は振り向いた。
あの、占い師であった。
「どうですか?おもしろいでしょ。」「えっ!」ぴ〜教授は舞台が気になり、占い師に構うことなく、また舞台に目をやった。
イザベラと男は相変わらず会話をしている。もういちど、占い師の方を降り返った。占い師はもうそこにいなかった。
「そんなバカな!確かにここにいたはず。」占い師を捜すともなく、舞台に目をやった。まだ、会話は続いている。
その時、舞台のくもの巣の扉が開いた。一人の女性が入ってきた。占い師であった。占い師はイザベラと舞台のぴ〜教授の席に
近づき、ぴ〜教授の肩をたたき、なにやら言っている。そして、舞台のぴ〜教授が占い師の方を振り返った。
そのとき舞台を見ていたぴ〜教授は、一瞬目の前が真っ白になり、やがて暗黒の闇に落ちていく自分を見た。
その最中一瞬、カウンターにいる自分を感じ、舞台を見ている俺がニヤリと笑ったのが、目に焼きついた。それもつかの間
やがてまた、漆黒の闇がぴ〜教授を襲った。意識がとうのくかすかな抵抗の中で「これは、どうしたんだ……」と
舞台には、ぴ〜教授がもっていた入場券が一枚おちていた。
そこには、公演時間 18:00〜エンドレスの文字が…(…つづく)