ぴ〜教授の華麗な生活 タバコをくゆらしながらゆっくりと回想録
■ 事件簿3 -火災事件-
人間と言うものはつくづく経験に基づいて動いている、反応している、生活していると感じた。
米国に着いた二日目の夜、6H時差(欧州にしばらくいた後のフライト)のせいもあって、その夜は
そうとう疲れて、ベットに着いていた。頭がまだこんがらがっている。
午後、”ケタタマしい”アラームがなった。このアラーム音に寝ていられる人は誰もいないであろう。
寝ぼけているぴ〜教授は、「なにごとか?アラームをセットした覚えはないし」と思いつつ
まず、手の届く範囲で、あたりを手探りでSWらしきものを、捜しまわる。
ベットの周りにはない。おっ、あったあった、あの時計かと思いつつ、そのそばまでまだ寝ぼけたまま、
動き出し、時計をチェック。「あれ、違うなあ。これじゃあないのか。まあ、いいかすぐ鳴りやむだろう。」
とまた、寝床についた。「あああああ、やかましい。いいけげんにせ〜よ。!」と叫びつつ、完全に目が醒めた。
壁を見上げた。火災報知器のベルが鳴っていることにはじめて気がついた。鳴ってから10分は経過していた
だろう。「おいおい!火事かよ。」といいながら、廊下にでた。廊下は警告音以外にピカピカと人を
誘導するような点滅ネオンが光輝いている。これまた、すごい光である。
「これはやばいぞ!どうすべきか。なにかを持ってでないといけない!
しかし、だれも廊下を歩いてない。ひょっとして出遅れたか。」と思っていると、一人の赤いカーディガンを
まとったご婦人が犬をだいて歩いて来た。
その光景は<ポセイドンアドベンチャー>のさまよえる人達の光景にそっくりであった。
「そうだ、外は寒いんだ。」
「やはり、火事なんだ。どうしよう、どうしようか。とりあえず部屋に戻り、パスポートと現金のみもってでなければ」
とあせりつつ、冷静にも靴下をはいて、ズボンをはいて(外の寒さが気になった)、しかし、上はシャツのまま、
靴をはいて下を目差した。オーバーコートも着なかった。
いっしょに来ていた連れは、たぶん降りているだろう。と思いつつ、急いだ。
「それにしても煙はでていないな。そんなに大げさではないかも」
出口がみつからない。エレベータはどこじゃ。いかん、こんな時は階段じゃ。
EXIT,EXITはどこだああああああ。フロアーを1周した。
なんとか、1Fフロア−にでた。警官が数人、消防員数人がやはり来ていて、活動していた。玄関外には
客が30人ぐらい出ていた。連れをさがすが、来ていない。
「あいつらだいじょうぶか?こんなやかましい中
よく部屋中にいられるよ。」外に出ている人は防寒着をきっちりきていて、万全の体制。
こんな外にいたら凍え死ぬと思い(なんせ、シャツ1枚やから)中に入って、様子をうかがった。
厨房のボヤか、何かがセンサーが感知してなったらしい。
「それなら、早く、音をけせよ!」と叫びつつ、ふるえていた。
しかし、こちらの消防士、警官の制服はなんかカッコいい。ある意味、この偶然に遭遇した出来事を
たのしみ、すっかり同僚のことを忘れている、ぴ〜教授がそこにいた。
そこにようやく同僚が一人降りてきた。
「なにもないんでしょ。だいじょうぶですよね。フロントに確認したら問題ないっていってたので、寝てたんですが。」
「ボヤあったみたいやけど、おまえら死ぬぞ。」冷静と言うかなんというか。
20分後、アラームは止まった。観客は一斉に拍手喝采。米国人気質と言うか、なんというか。
しかし、もう一人の連れは??? あいつは完全に死ぬな。2人の共通した見解である。
ぴ〜教授はもちろん大学ノートをとりだしメモしていた。
人間は経験がないと行動をおこせない。この経験はきっと役立つはず。いい経験をした。