エピソード18 除名
最近、ゴルフも昔ほど盛んではないが、何もすることのない親父や若者には
それなりの人気がある。若者達が始める場合は、3、4人ぐらいから気の合った連中が
「そろそろやろか!俺らも、一応営業やし、最低必要やしな!」
なんていいながら、始めるわけである。何年か経って、一応ゴルフらしくなってくると
コンペ的なことをやりたくなってきて、また仲間を集め、こじんまりと小さな○○杯という
形で楽しむわけである。小さなトロフィーやカップなんかを用意して。
やがて、うわさが上長に聞こえ、部長に聞こえして、○○杯は違う方向に向いていく。
お気楽にやっていたものが、優勝やブービーなんかをとると、次の幹事として義務的に
やらなければならない状況になってくる。それでも、根っからの好きな人は、そんなことは
屁でもなく、楽しい限りではある。
こんな中、1人の営業部員H君がゴルフを始め、この○○杯に参加したくてたまらず、
参加をお願いした。当初からこの○○杯を育ててきた最初のメンバーは、このH君だけは
入れたくなかったんだが、面と向かって断るのも大人気ないし、毒にもならないので、
(この見込みがあまかったのだが)「いいよ」ということで、参加できるようになった。
H君は、はりきって参加し何回か無難に経過したらしい。まぁ、聞くところによるとちょっとは
みんなの気分を害させることはあったらしいが。
H君が参加しはじめて、何回目かのコンペの時、とうとうH君はブービー賞に輝いてしまった。
この頃は、既に昔のようにお気軽コンペでもなく、お偉いさんも参加しているコンペとなっていた。
優勝が部長さんで、当然次のコンペは彼が中心となって、進めなければならない。
まあ、そばに助けてくれるやつもいるし適当にやればいいや。と思いつつ、何週間がすぎていった。
通常会社のコンペは、長くても3ヶ月後ぐらいには、決めておかないと、好きな連中は
うるさい。特に、することのない親父は。
やがて1ヶ月経過し、コンペ仲間の部長が、H君に聞いてきた、「次のコンペ決まったかな?」
「まだ、決まってないんですよ。」。「まあ、決まったら教えてや」。やがて、また、1ヶ月が経過
「どうや、決まったか?」「まだなんです。すぐ決めますから、なかなかいいところがないんですぁ」
H君は実はなにもしていなかった。隣の、Y君に「そろそろ、なにかしないとあかんかなぁ?」
「そろそろ、しないとやばいんとちがいます。なんでも手伝いますから、言ってくださいよ。」
そして、1ヶ月がまた経った。
そして3ヶ月め、
例の部長「おい、H君。どうや決まったか!」 いらだちを隠せない。「はい。まだです。」
「なに!!何を考えてるんやお前は!お前は、もう除名や!!!」
烈火の御怒りで、ぶち切れてしまった。H君はこうして、○○杯からは、永久追放されてしまった。
当初メンバーも見てみぬ振りで、内心 ホッとしているらしい。
H君はこれにめげず、別の××杯を模索しているそうな。